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システムメンテナンス思考(その3)
1.概要
2. VTRについて
VTRの歴史は古く、それだけに多くのモデルが商品化されております。
しかし、基本構造は、映像信号を録再するためのビデオヘッドと音声信号、タイムコード信号および制御信号(CTL)を録再する各ヘッドが有り、これらのヘッドにテープをトレースする為のテープガイドとテープを駆動する機構部分等で構成されております。このVTRもテープと同様にメンテナンスが重要で、取材や中継録画等で取り直しが効かない映像を収録する際のトラブルや大切なテープにキズを付けるなどのダメージにつながります。オープンリールのVTRからカセットテープの∨TRへ移り変わってきた段階で、機構部分の状態が確認し難くなっていますが、それだけに日頃のチェックが必要と云えます。
2.1 VTRの構造について
初めに∨TRの構造について簡単に紹介させていただきます。
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一般的に∨TRの基本構造は、図−1に示した部分から造られております。この図は、オープンリールの∨TRをイメージしておりますが、カセットテープの∨TRでは図−1のリール部分の機構が異なるだけで基本的には共通しております。
-1.リール部分
−2.テープガイド
−3.固定ヘッドA
−4.回転ヘッド
何れの場合もビデオヘッドは回転体に取り付けられており、回転ヘッドと呼ばれております。ヘッドを回転さすのは記録する信号の周波数が高い為、ヘッドとテープの相対スピードを速くする必要が有り、一般的には毎秒30回転とか60回転が用いられます。この回転ドラムには、映像信号の録再用と消去用の各種ヘッドが備えられており映像のみの編集やスロー再生時等で使用されます。
各種回転ヘッドの配置例を図一3に示しました。 また、図−4にテープ上に記録されたビデオヘッドおよび固定ヘッドの軌跡を示しました。この軌跡は通常見ることは出来ませんが、何回か使用したテープにキズ跡として確認できる場合があります。 回転ヘッドの軌跡を斜めにした理由は、テープ幅を有効に使用するためです。通常一本の軌跡に、1フィールドの映像を記録しフィールド毎にヘッドを切り替えて連続した映像信号を録再します。
−4.固定ヘッドB |
−5.テープ駆動部 テープ駆動部は、キャプスタン軸とローラーから構成されており、軸とローラーの間にテープを挟み走行させております。FFやRWD時には軸とローラーが離れ、録再時や可変速再生等の走行時に使用されます。テープの走行状態として、FFやRWDは、短時間にリールヘ巻き取ることが主となりますが、録再や可変速再生はテープスピードを正確に制御する必要が有り、テープ駆動部を用いております。
以上が∨TRの基本構造です。この基本構造を基に各種∨TRが製品化されており、市場に出荷されております。特に、小型軽量化やデジタル化が進んで機構部の構造も変化しており、より複雑に成っておりますがメンテナンスの視点から捕らえますと理解しやすいと思います。但し、先にも記述いたしましたが、小型軽量化、 高密度記録化が図られておりますので、取り扱いには注意が必要です。
簡単な清掃でも、取扱説明書を一読されてから扱うことをお勧めいたします。
当然の事ですが、テープと∨TRはセットで使用しますので、−方だけ注意してもトラブルの要因に成りますから、それぞれのメンテナンスが必要と云えます。
次回は、∨TRのメンテナンスに付いて紹介いたします。
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